OMORI プレイ感想



ひっっっさしぶりに強烈な〇〇ロスが生じたのでこれまた久しぶりに思ったことをつぶやく道場に書き記すことにしました。
内容の都合上強烈なネタバレを含みます。未プレイの人は絶対に見ないでください。ネタバレ食らうと一気に魅力が失われるゲームです。

近年ここまで力作なシナリオゲーは中々お目にかかれなかったのでこんなクソサイトのクソページで未プレイの人からこの素晴らしいゲームを奪いたくないです。
そもそもどんなゲーム?って人もいると思うのでPVをここに張っておきます。PV見て心惹かれた人は実際に遊んでみてください。プレイ時間25時間〜40時間くらいかかる超長いゲームですが一生の思い出になる事を保障します(それが良い思い出となるか猛毒となるかは分かりませんが



今はまだSteam版しか出ていないようですが2022年春にSwitch版が出るそうなのでPC持っていない人はそれまで待ってプレイし終えてからこのページに戻ってきてください。
PC持ってる人ならSteamで買えます。日本語対応済みです。



以下ネタバレ有りのため未プレイの人はスクロールしないでください。






















































本当にプレイしましたね?






















































プレイしていないのにここまでスクロールしたのなら絶対に後悔しますよ????



























































■もう二度と元に戻ることのない人間関係



主人公の姉でありマリの死を切っ掛けに永遠に続くと思われた、永遠に続いてほしいと願っていたみんなとの人間関係がバラバラになってしまう物語。

マリは表向きには主人公の裏庭の木にかけた縄で首を吊って自殺した事になっているが、本当にあった出来事は姉のやや完璧主義な指導に苛立ちを覚えた主人公がバイオリンの演奏が嫌になって階段の下に投げ落として壊し、それを怒った姉に反射的に手をあげて階段から突き落とし殺してしまったのがマリの死の真実である(過失致死であり故意的ではなかった
階段から落ちた姉が喋らなくなり、動かなくなったのを見た主人公は姉をベッドまで引き上げて休ませるも喋らないことから死んだ事に気づきパニック状態に。その事に主人公の親友のバジルが気づき、バジルが数少ない親友(恐らく依存するほどまでに)を失いたくないがために二人で死を偽装し首つり自殺に見せかけた。これが二人の墓場まで持っていく事になる重い秘密となるが去り際にぶらりと釣り下がった姉の前髪の隙間から見えた瞳が二人を睨みつけているように見えその時の光景が罪悪感という形で一つ目のお化けの姿で幻覚として見え始めるようになってしまう。

真相に向き合う事を恐れ、現実逃避に走る主人公はホワイトスペースと呼ばれる空想の世界にOMORIという自分の分身を作り出す。(名前の由来は姉の引いていたピアノメーカーから)
現実逃避によって自分自身を安全に保ちたい主人公の願望がヘッドスペースと呼ばれる過去の幸せな日々を元に作られた架空の世界を作り出し、架空の世界で主人公は幸せだったあの時間を追体験することが出来ていた。しかし心のうちに潜む罪悪感、そして不意に直面する目をそらしたい真相が定期的に顔を出し直面するたびにホワイトスペースという安全地帯へ引き戻される。架空の世界に逃げ込んでいることを頭のどこかで主人公は理解していて向き合わなければいけないことも理解しているが向き合う事が出来ない。
主人公は真相を話す事が出来なかった。真相を話せば人間関係は崩壊し二度と元に戻る事のない(常識的に考えて話したうえでまた無邪気に遊び合える元の人間関係に戻れるとは到底思えない)とは破滅的な結果を生み出す事を予期していたからだ。しかし話さず真相を隠し続ける事もまた姉を過失とはいえ殺してしまった事に対する罪悪感で心を苛まされ一つ目の「何か」が幻覚として後ろに張り付き続ける。
姉を殺してしまった時点で隠しても隠さなくても、話しても話さなかったとしても二度ともうあの楽しかった親友と過ごす日常は帰ってこないことをこれでもかと直視し続けさせられ延々と思い出に浸る心苦しいゲームだった。




■没入感を高めリンクするプレイヤーと主人公




プレイヤーは何の情報もなしにホワイトスペースで引きこもるOMORIを操作し、誰なのか分からない親友と一緒にヘッドスペースを旅する。でもこの親友はOMORIに優しく心許せる人物であることはすぐにわかる。誰だか分からないけどとにかく居心地がいい。
誰だか分からない、何の情報もない。この部分がまさに主人公が目を背けている過去、忘れたい記憶の部分であり物語序盤の主人公のこの状態を1つの描写としてプレイヤーに情報を伝えているのように感じた。
そして断片的に、少しずつ事の真相が見えだしてくる描写は嫌な思い出がふいに蘇るあの感覚のように主人公にとっての忘れていた真相を思い出す事がプレイヤーへ何が起きていたのか真相として情報が伝わり、プレイヤーの知らない事とは主人公の忘れていた記憶という位置づけが確率していく。主人公が思い出す事はプレイヤーが1つの情報として認識することとなりプレイヤーと主人公は深くリンクしていき没入感を高められた。

徐々に明かされて行く真相。先に話した通り全ての真相をプレイヤーを知った時、この秘密とどう向き合うか間接的に選択しなければいけない。道中一部のルートに現れる自分を刺すENDや病院からの飛び降り自殺は考え抜いた末にこれを正式ENDと捉えたくなる人もいるだろう。真相を知る前に楽しんだヘッドスペースの出来事が空想の物語ではなく、脚色されてるとはいえ実体験を一部ベースとしている事が分かっているだけに真相を知った時にはもう全て元には戻らないことをプレイヤーは悟らざるを得ないのである。あまりに辛い事実に向き合い続けるのか、それとも死んで終わらせるのか。究極の選択のように見えるが話すは社会的死を意味し自殺は肉体的死を意味し実体はどちらも同じ事である。(ケルは長い時間かけて許してくれる可能性はあるが今でも大いに引きずってるヒロとオーブリーは苦しい所がある。特に主人公はオーブリーに大して恋心抱いていた描写が数多いだけに余計に辛い



■進めば進むほど苦しくなる元の日常



マリの死から四年の月日が経ち、皆変わってしまった中。ケルのほんの気まぐれから止まった四人の時計が再び動き出し崩れた仲が修復されていく。
でもそれはマリの死の真相を知らないから修復出来ている訳で真相を知っていたら果たして残り一日の終盤のようにみんなで心のうちを明かしながら過ごすことが出来ただろうか。

プレイヤーは初めは何の情報も与えられていないのでヘッドスペースの四人の親友達と共に旅する事に何の躊躇いも抵抗感もない。
しかし旅が進み真相が明らかになるにつれてヘッドスペースの友人達にすら会うのが苦しくなってくる。ヘッドスペースに出会う親友達は昔の思い出でもあり想像の産物でもあり、願ってももうその仲に戻る事はないと少しずつ分かり始めてしまうからだ。

ホワイトスペースにある黒い電球はアイデアの抑圧を意味しており(逆に白い電球はアイデアの誕生を意味する。こちらはアニメとかで日常的に目にする機会も多い)、主人公の真相に対する抑圧を視覚的に表している。ヘッドスペースでの物語が進み真相に近づけば近づくほどこの黒い電球から放射される光がより黒くなっていくのは徐々に思い起こされる記憶を必至に抑え込みたい描写と捉えられる。
物語の終盤、主人公とOMORI二人だけがいるホワイトスペースにて主人公が黒い電球を取り外すのは抑圧された真相を解き放ち真実と向き合う事を決意している。
グッドエンドの物語は主人公がリアルワールドの出来事を通じてマリの真相と向き合っていき、最後には病室でマリの死の真相について話すがそこから先の出来事はプレイヤーの想像に任されている。実績の扱い的にはグッドエンドでその後のシークレットエンドの描写から主人公とバジルについていた幻覚の「何か」が消えていく描写はあるが二人が前に進むための準備と覚悟が出来ただけで決して皆に許された訳でもなければ罪を償い終えた訳でもない。順風満帆とはいかないはずだしなんなら今まで以上に辛い可能性もある。



バッドエンドでは黒い電球を外し真相と向き合った末に死を選択する。主人公は(恐らくバジルも)死ぬがマリの死の真相は永遠に隠されオーブリー、ヒロ、ケルの中の自分は綺麗な形のままで残して去る事が出来るだろう。

引きこもりルートでは最後の日に主人公のコントロールを奪ってOMORIとして主人公を殺し物語を終わらせることもできる。主人公にとって死は逃げの選択でも何でもなく、安息を求めるための救済でもあり、引きこもりルートでは自害寸前ずっと付きまとっていた「何か」がいなくなり罪悪感に苛まれなくなっている事が分かる。

結局どの選択をしてもあの眩しい充実した過去と同じ日常が戻ってくる事はない。その先の日常をどう過ごしてくか。ヘッドスペースを通してひたすらに過去の楽しかった記憶を思い出して楽しみつつ、その楽しい記憶に苦しめられるのだ。


■死は救済か償いか?


最後に一つだけ考えたいことがある。OMORIを操作してる時にホワイトスペースで自害することで目が覚めリアルワールドへ帰ってくる。
最終盤で主人公が消えOMORIにコントロールを乗っ取られた後もリアルワールドで自殺を選択することになる。ヘッドスペースに作った自分の分身は定期的によく死を選ぶ。この死の意味について少し考えたい。
OMORIが死ぬ理由は姉に対する償いか。責に耐えられずざわつく心を鎮め安息を得るための死か。ヘッドスペースに存在するマリはOMORIにトラウマの克服を促し前を向いて更生することを望んでいる。一方リアルワールドで定期的に現れる「何か」は明らかに姉の恨みのようなものを感じ取れる造形をしているし怨念のようにも見える。ヘッドスペースに存在する世界が自信が作り出した安全地帯であり全てを自分に肯定する世界なだけなのか、姉から許しを得たい主人公の願望なのか、
結局どれだけ考えても答えはなくプレイヤーの想像に任せられてしまうのだが個人的にはこのゲームにおける自殺はある種の救済なもののように感じられた。窓から差し込む赤い光を見た時どこか惹かれるものがあるとOMORIがコメントしていてその光が死を抽象的に表現しているように感じられた。

黒い電球を取り外し真相と向き合った結果に自殺を選択するOMORIは実績上ではバッドエンドと表記されてはいるものの、OMORI及び主人公本人にとってそれが本当にバッドエンドなのかどうか分からなくなってくる。逆に皆に真相に打ち上げた話しは本当にグッドなのか。どちらもグッドでありどちらもバッドのように今は感じて仕方がない。


時折自分が小学生の頃の記憶が蘇り、頭の中で一緒に旅をしたキュピル達の事を思い返し、そしてリアルの未来を想像して溜息をこぼしてしまう。OMORIは私にも暗い電球を1つぶらさがっていることを認識させられたゲームだった。






以下12/29追記分

■ヘッドスペースは脚色のレベルか妄想のレベルか




ヘッドスペースでの親友達との冒険はその名の通り脳内の空想上の出来事であるが満更全て空想とは限らないのは大概のプレイヤーは気づけたはず。例えばホワイトスペースを出て大きな猫に見守られていて親友達が大抵待ってくれてるその空間はリアルワールドのツリーハウスが元となっているしヒロビロの森にある公園はリアルワールドの公園が元になっている。ヘッドスペースに登場する舞台や人物は大抵リアルワールドにきちんと元となった何かが大抵ある。
ただいくつか元となっていたものだけではなくリアルではそうなってはいないがオモリがそうだったらいいなという願望に基づいているものが存在している。その中でも顕著に現れているのはオーブリーとの仲だろう。
ヘッドスペース内ではオモリとオーブリーの仲は良好(?)どころかオーブリーがオモリに大して恋心を抱いているシーンがいくつか存在している。通常プレイでもスイートダンジョンの地下でピクニックした時のセリフでオーブリーが自信とオモリが真の愛を示せるという会話を目にすることが出来るが実はとある場所でオーベリーのラブレターを拾う事の出来る箇所がありそこでは6人に増えたオーベリーからラブレターと共に告白を受けるシーンがある(最終的には6人のオーベリーが1人のオモリを巡って争奪戦を行う。

普通にプレイした場合もしかしたら四年前まではオーベリーとオモリは本当にそういう関係だったのかもしれないと否定できない部分も出てくるのだが流石にラブレターのシーンを見てしまうとオモリの願望によるものとの解釈が強くなってくる。そうなるとヘッドスペースにはオーブリー以外にもオモリがそうであってほしいと望んだことで事実とねじ曲がったものが他にも存在している可能性がある。もしかしたらリアルワールドでのオーベリーはここまでオモリには行為を寄せていない可能性も・・・。その他オモリがこうであってほしいという物があるかもしれずもしあったら新しい視点が見えてきそう。今二周目を引きこもりルートでやりこんでいる所なのでいずれその視点で三週目(正規ルート&実績うめ)の時はその視点で色々見てみたい。

そしてこれは完全に余談ではあるがオモリがまだトレーラーになる前にOMOCATが運営しているブログ?か何かでOMORI'S STORYというOMORIの元となっている作品を掲載しており、そこでは何故かオーベリーのワンピースの丈が異様に短くなっておりぱんつが丸見えとなっている。上での推察の通りオモリの願望がヘッドスペースに出ているならオーブリーの事が好きでオーブリーのぱんつを見たいという欲でも出ているのか・・・。
参考URL:https://www.omocat-blog.com/post/57264870461/omoriboy-omoris-story-omoris-sketchbook-omori

しかしこの作品が2011年に出たものだけどきちんとゲームの中と一致しているものが多数あってプロットの一貫性に驚かされます・・・。このページの上部に貼り付けてあるトレーラーは2014年にリリースされたものでこの時点でストーリーは固まっていてそれが変わっていないのだから凄い・・・。


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